海底ケーブル防護法

 

現在、国際通信の99%は海底ケーブルが担っており、通信衛星による国際通信は1%にも満たない。

したがって、戦争を開始しようとする場合は、敵方の海底ケーブルの切断から始めるのが、常套手段である。日本軍は、旅順封鎖戦でロシアの海底ケーブルを切断し、英国は第一次大戦でドイツに宣戦布告した際にドイツの海底ケーブルを切断している。

 

中国は、海洋調査船の活動を活発化させ、世界の海底ケーブルの位置をすでに把握しているものとみられている。切断のための水中ドローンもすでに開発し、その一つはインドネシア沖で発見された(2021年1月)。

 

海底ケーブルの切断は、「海洋法に関する国際連合条約」(UNCLOS)の113条で、各国で犯罪とする規定を設けることを求めている。

ただし、これは公海上で自国の船が海底ケーブルを切断した場合に、その行為を処罰することを求めているだけで、公海上で他国の船が故意に切断した場合は、規定をもとめていない。

 

日本は、UNCLOS条約の締結国であるが、まだ113条に基づく立法を行っていない。

至急、自国船籍の船について、立法するとともに、他国の船については、国際司法裁判所を通じての損害賠償請求の規定などを整備する必要がある。

 

また、戦時に備え、防護用の監視船を建造し、早急な復旧をはかる水中ドローンの開発も急がなければならない。英国は、ロシアによる切断を想定し専用の監視船の着工を始めている。

 

(なお、この件については、情報安全保障研究所の山崎文明主席研究員からご教示を得た)