皇室典範をどのように改正するか

 

平沼赳夫氏は、男性皇族が減少している現状にかんがみ、皇室典範第九条「天皇及び皇族は,養子をすることができない」という規定を改正することを提案している。すなわち、四宮家(秩父、高松、三笠、高円)については、皇室会議の同意のもとに、臣籍降下した他の宮家より男性養子をとり、相続させるという案を提起している。見逃せない重要な提案である。現状のままでは、やがて皇室の男子は、消滅してしまう恐れが大きい。

 

これまで、持統天皇など8代の女性天皇が、皇位を継承したことはあるが、女性天皇が民間の男性との間に産んだ子供を天皇にした前例はない。女系天皇は、いなかったのである。

安倍政権は、権力志向の大和田家に遠慮してか、皇室典範の議論に踏み出すことをためらっているようである。お得意の問題先送りの姿勢であるが、遅かれ早かれ、改正の時期は来るのであるから、遠慮せず、堂々と,「皇統に属する男系の男子を養子にすることができる」という規定を設けるべきと考える。

 

また、皇室祭祀令を回復し、天皇(スメラミコト)は、祭祀王(priest king)であって、政治皇帝(emperor)ではないことを明記することも必要となる。emperorという戦前来の誤訳は、早く廃止しなければならない。祭祀王こそ、世界がうらやむ最古の伝統なのであるから。

 

 なお、終わった議論であるが、皇太子の退位について、佐々淳行氏は、その著書『救国の八策』の中で、次のような皇室典範の改正を提案したことがある。

皇室典範第十八条に「摂政または摂政となる順位に当たるものに、精神もしくは身体の重患があり、または重大な事故があるときは、皇室会議の議により、・・・摂政または摂政となる順序を変えることができる」とあるが、これを配偶者を含めて改正すべきと佐々氏は提案する。

「摂政もしくは摂政となる順位にあたるものまたはその配偶者に、精神もしくは身体の重患があり・・・」と改正すればよいのである。これは、徳仁皇太子が雅子妃の療養に専念されることを勧めた提案であった。皇室の中で、文化の衝突が起きた場合は、傾聴に値する議論であった。