放送記録公開法

 

テレビやラジオの放送は一過性の垂れ流しで、一度放送してしまうと、検証したいと思っても自由にできない仕組みになっている。この点、新聞、雑誌は、国会図書館に保存され、後日、検証、分析ができるのと大いに異なっている。

 

フランスでは1992年に放送内容の記録と保管が法制化され、国立視聴覚研究所(INA)に国内の120のテレビ局、20のラジオ局の放送が記録・保存され、誰でも視聴できるようになっている。

こうした制度を導入することに、放送界は「言論の自由」を奪うと称して、反対してきたが、言論の自由といっても、事実に反する言論やあるイデオロギーの色眼鏡を通した不公正な言論、印象操作を狙いとする言論まで、自由に垂れ流していいというわけではない。

 

自らの言論が、公正で公平で正確であると自負するなら、第三者の検証を待つことに何のためらいもないはずである。放送界が、放送内容の記録と保管の法制化に反対するのは、筋が通らない。情報の公開と検証の可能性は、民主制の骨幹なのである。

 

野田聖子議員らは、放送アーカイブ法を提案してきたが、それには次のような骨子を盛り込む必要があろう。

① テレビ、ラジオ局は、そのすべての放送内容(広告を含む)を記録し、その複写を国会図書館に送付しなければならない。

② 国会図書館は、放送内容を整理し、これを求めに応じ自由に閲覧し、複写することができるようにしなければならない。

③ 保存期間は、テレビ、ラジオ局にあっては、10年間、国会図書館にあっては永久保存とする。

④ 所要の罰則を設ける。