救国の永久国債で国民の生活を救え

 

2020年以来、世界はコロナウイルスで揺れている。米英、欧州は、所得保障のため戦時に匹敵する巨額の政府支出を決定した。ところが、わが国は少額の給付金でごまかそうとしてきた。政治をしているふりを繕っているにすぎない。それというのも、財務省の大福帳経済学が邪魔をしているからである。

 

財務省は、単年度の収支の帳尻を合わせるだけの「大福帳経済学」を信奉し、プライマリーバランスなる他の諸国も採用していない基準を閣議決定させた。その結果が、30年に及ぶ平成大不況であり、この間に日本のGDPはOECDの中で、無残な最下位に落ちてしまった。財務省だけが喜び、勤労者の所得は減り続けた。

 

日銀と合わせた統合政府のバランスシートをみると、政府の実質国債残高は、着実に減少しているにかかわらず、財務省は新規国債の発行に消極的であり、増税で歳入を増やそうとしている。MMT理論に従い、国債を発行して、教育、情報、国土強靭化に投資しようとしない。日銀の当座預金口座を利用して、国債を大量発行し、子育て、大学院の充実、IT網の強化、災害防止に投じようとしない。財務省に染みついた伝統的な国債恐怖症は、祓うことができないでいる。

 

日銀保有の国債は、借換債を発行して借り換えをつづければよいので、国債発行額を減らして経済収縮を招く必要はない。帳簿上、返済したいのであれば、より長期の国債、あるいは永久国債を発行しつづけるだけでよいのである。

2022年末に、政府は、防衛力の強化のため今後5年間で43兆円が必要と計算し、その一部を法人税、所得税、たばこ税でまかなおうとしているが、これでは景気を冷やし、また「失われた次の5年間」を誘発するおそれがある。

すでに、外為特別会計の運用益が年間3兆円以上あり、これを活用すればよいのだし、また外為に頼らなくても、現在、日銀が保有する国債を永久国債に振り替えていけば、借換債を発行する必要が無くなり、国債償還費を予算に計上しなくてもすむ。(60年の国債償還ルールは、破棄しなければならない。発行された国債は60年後の世代の負担ではなく、現在の世代がすでに負担しているからである)

 

永久国債は嫌だというなら、最後の手段として、政府紙幣を発行し、失業した国民、家計の救済に振り向けてはどうか。

現在は、まだデフレギャップが継続しているから、政府紙幣を大量に発行しても、大災害によって財の供給能力が急減しない限り、悪性インフレが生じることもない。もし、悪性インフレが生じそうになれば、その時には金利操作を行って調整すればよいだろう。経済成長すれば、税収は自然にふえるから、緊縮財政ではなく、積極財政にかじ取りを切り替えるべきと考える。

 

新種のコロナ蔓延という緊急事態を迎えた今、内閣は、緊縮財政の根拠となっているプライマリーバランス達成の閣議決定を廃止し(それができないなら、達成目標を10年ほど延期し)、失業救済と国土・情報・教育・エネルギーの強靭化に向けた公共投資を増やし、それによって経済成長を促進することを忘れてはならないだろう。

 間違った緊縮財政を主張する財務省を分割し(財務省主計局を内閣主計局に移管、国税庁を歳入庁に統合して〉内閣が直接財政の責任を持つように組織変更することも求められている。これが、国家百年の計というものである。

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財務省の情報操作は破綻した

 

これまで、財務省は、国民一人当たり900万円の借金があるので、それを返済するために増税しなければならないと説明してきた。そしてプライマリバランスの黒字化なる目標を定め、財政健全化が日本の財政破綻を避けるために不可欠と主張してきた。

しかし、これは大福帳経済学の収支バランス論で、とんでもない間違いであることが、次第に多くの経済学者(特にMMT論者)によって指摘されてきている。

 

第一に、政府の負債は存在するが、国の借金なるものは存在しない。そして、政府の負債は、国民の資産であって、政府負債が増えるほど国民の資産は増大することが明らかになってきた。そして、国債は、政府小切手を発行することにより、結果的に銀行預金を増やすのである。

国債発行残高1100兆円は、借金ではなく、国民への送金残高と言ってよい。

 

第二に、政府の負債(国債)は、国民の預金から借りているのではなく、日銀の当座預金から借りている。したがって、高齢化して国民が預金を取り崩しても、景気が悪化して企業の預金が減っても、国債は発行できるのである。2001年以降に政府支出を拡大した国は、経済成長しているが、逆に緊縮財政を行った日本のみ、デフレが継続し、実質所得が低下し、国民を貧困化させてきた。

 

第三に、日銀は、政府の子会社であるから、統合政府の連結財務諸表で見ると、政府の負債は相殺されており、なんらの問題もない。黒田日銀は、当座預金の支出を急拡大したが、リフレ派の期待した2%のインフレは生じなかった。くわえて、日本政府は、世界最大の対外純資産保有国であって、赤字国ではない。円建てで国債を発行しているかぎり、財政が破綻することはあり得ないことは明らかである。

 

 第四に、国債の発行残高は、増大したが、長期金利は0.5%以下のままである。財務省は、多額の国債発行は、金利を暴騰させ、財政破綻に導くと主張したが、間違っていた。財の供給能力が需要を上回っている限り、インフレにならず、国債金利も上昇しない。