<新聞、雑誌の発行者に説明責任を持たせる法律を

 

<新聞、雑誌の記事について>

 

 放送法に定める四つの放送基準(公序良俗、公平性、真実性、多角的観点の追求)は、また新聞、雑誌といった定期刊行物においても、基本的には守られるべきものである。

 

 ただし、新聞は、(赤旗や聖教新聞のように)党派性を有することが許容されているから、偏向のない完全な公平性を要求できないし、また「できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」も期待できない。しかしながら、ある党派を支援するからといって、事実に反する記事や、誹謗中傷の記事、プライバー侵害の記事、倫理に反する取材は許されないのである。

 

  慰安婦問題に関する朝日新聞の大誤報は、その訂正に至る期間があまりにも長く、我が国の国益を大いに棄損したが、これをみても真実でない記事の訂正をもとめる手順が、外部的にも内部的にも不備であることが明らかとなった。

 

 

 

  また、福島第一原発吉田昌郎所長の調書の誤報事件、九州電力川内原発の放射線線量計が機能していないと曲報した事件も、強い批判を浴びているが、報道側の朝日新聞は誤報に至った経緯の説明を避け、再発防止措置を講じようとする姿勢も見えない。政治家や経営者の失敗に対しては、するどく説明責任と再発防止措置を求めているにもかかわらず、身内の誤報については知らぬふりを決め込んでいるのである。

 

 さらに、沖縄タイムスや琉球新報が、特定のイデオロギーを支持する立場から事実と異なる報道を意図的に行っていることは、報道機関の自殺行為に等しく、読者から非難の声が上がっている。読者が異議申し立てをしても、報道側はこれを無視し続けているので、第三者の公正な機関が「事実と異なるか否か」の調査を行い、必要な訂正、背景説明または陳謝、謝罪、再発防止の勧告を行うシステムを整備しなければならない。

 

 英国やスウェーデンなどでは、定期刊行物の業界団体が第三者の審査機関を整備し、報道倫理を担保するようになっている。このように、読者からの不服申し立て制度を整備すれば、報道の自由を確保しつつ、報道の正確性、取材の倫理性なども確保することができるのである。 (英国では、プライバシー侵害などの記事が相次いだことから、法律により公的な審査機関を設置しようとしたことがあったが、業界の意向を受けて、当面業界団体の自主審査に任せることにしたという経緯がある。)

そこで、以下のような法律を制定し、業界団体が記事に対する読者の異議申し立てを受け付け審査し、勧告を下すシステムを整備することが急がれている。

 

記事の説明責任等に関する法律

 

 1 定期的に記事を発行する業界の団体(新聞協会、雑誌協会など)は、記事または取材の倫理性、正確性および真実性を確保するため、記事および取材に関する詳細かつ明確な報道実務基準を制定し、これを公表するものとする。

 

 2 前項の業界団体は、報道実務基準の履行についての読者からの異議申し立てを受け付け、審査する機関として学識経験者若干名からなる中立的な報道不服審査委員会を設置するものとする。その費用は、すべて業界団体が負担する。

 

 3 前項の報道不服審査委員会は、個人、団体または政府機関から報道実務基準の違反として異議申したてがあった場合は、速やかに記事の発行者に説明を求め、記事または取材の内容を審査し、必要な訂正、背景説明、謝罪、陳謝、再発防止などの措置を講じるよう勧告し、これを公表するものとする。

 

 4 勧告を受けた記事の発行者は、その媒体において勧告に沿った措置を講じるものとする。勧告に従わない場合は、理由を付してその旨を報道しなければならない。

 

 5 新聞社または通信社は、テレビ局(キー局、地方局)との資本の持ち合い、人的交流、テレビ報道に対する関与の状況等について総務省に毎年報告しなければならない。

 

 6 新聞社は、その広告会社による広告の仲介、あっせん、割り当てまたは報道に対する干渉、関与の状況について、これを毎年総務省に報告しなければならない。

 

 (我が国の広告業界は、寡占状況がつづいており、このため、広告業界の意向が不当にも強くなりすぎ、報道内容にたいする影響力が懸念されている。ある広告企業が、特定の企業、政府または外国機関の影響を受けている場合、報道の偏向または報道隠ぺいとなる恐れがある。新聞、雑誌の広告割り当てを支配している広告業界の寡占状況に対し、公正取引委員会は、排除勧告を出すべきであろう。また、一つの広告代理店が、ある商品の競合企業の広告を担当するという利益相反が行われているのも問題である)

 

 

 

 7 記事の発行者において、外国の企業、団体または外国籍の個人を常駐させる場合は、事前にその名称、氏名、理由、期間および活動内容、内部情報へのアクセス許容状況を総務省に届けなければならない。

 

(朝日新聞等には、外国の報道機関の関係者が常駐しており、かれらの影響ないし内部工作が懸念されている。)

 

 8 記事の発行者またはその広告代理店が特定の国の出身者または国籍者を雇用する枠をもうけている場合は、それを総務省に届けなければならない。

 

(朝鮮総連などは、新聞社や広告代理店に圧力をかけ、在日の採用枠を設けさせたと伝えられるが、その実態を把握する必要がある)

 

 9 記事の発行者またはその広告代理店において外国籍の者を雇用する場合または記事作成、広告作成の下請け企業が外国籍の者を雇用する場合は、事前に総務省に届けなければならない。帰化した者を雇用する場合も同様とする。

 

 10 総務省は、5-9の項目についてこれを公表するとともに、年次報告書を国会に提出するものとする。

 

 17 所要の罰則を設ける

 

 

なお、以下は、英国の記事不服審査委員会が定めた記事実務基準(press code of practice)である。精緻な文章でしっかり表現されており、隅々まで配慮が行き届いている点が、我が国と異なっている。

じっくり、吟味し、日本においても同様の緻密な記事実務基準を作成してほしいものである。この基準の違反があったかどうかを報道不服審査委員会(元裁判官などが構成する)が審査し、勧告を出す仕組みとなっている。

 

英国の記事実務基準

 

1 正確性

① 新聞および定期刊行物は、不正確な資料、誤解を招くような資料または歪曲された資料を報道しないよう注意しなければならない。

② かなり不正確な記事、誤解を招くような発言または歪曲された記事が報道されたと認められるときは、迅速にかつそれを相応に目立つような形で訂正しなければならない。

③ お詫び(陳謝)が適切と認められるときは、すぐさまお詫びを掲載しなければならない。

④ 新聞または定期刊行物が当事者となった名誉棄損訴訟の結果については、つねに公正かつ正確な報道をしなければならない。

 

2反論の機会

 不正確な記事に対する公正な反論の機会を与えるよう個人または団体から正当に要求された時は反論の機会をあたえなければならない。

 

3論評、推測及び事実

 新聞が党派性を持つことは自由であるが、論評か、推測か、事実かを明確に区別しなければならない。

 

4 私生活権(プライバシー)

① 個人の私生活に対する同意のない侵入及び取材は、私的財産の域内にいる人々を同意なしに望遠カメラで撮影することも含めて、許されない。(以下、略)

② 前記の方法により取得した資料の公表は、公共の利益に奉仕するものであることが事実関係によって明らかに示される場合に限り、正当とみなされるものとする。

 

5 盗聴器

公共の利益のために正当とみなされる場合を除き、記者は盗聴器を用いたりまたは私的な電話会話を傍受することによって入手された資料を取得してはならず、また同資料について報道してはならない。

 

6 病院

病院または類似の施設で取材する記者または写真家は、その公的でない場所に入る前に、責任者に身分を明らかにしたうえで取材の許可を得なければならない。(以下略)

 

7 詐称

① 記者は一般に、詐称もしくは策略を用いて、情報もしくは写真を入手したりまたは入手しようとしてはならない。(以下略)

 

8 いやがらせ

① 記者は、脅迫またはいやがらせ(ハラスメント)によって情報や写真を入手してはならない。

② 記者は、その取材が公共の利益にかなうものでない限り、私的不動産の中にいる個人の写真をその同意なしにとってはならない。また、やめてほしいといわれているのに個人に対して電話や質問をしつこく続けてはならない。また、立ち退くように言われているのに、個人の私的不動産の域内に残留したり、個人の後について言ったりしてはならない。

③ 編集長は、これらの制限を記者に順守させるよう措置を講ずる責任がある。

 

9 金銭の支払い

① 話の内容または情報を売るために金銭の支払いまたはその申し出を、審理中の刑事訴訟における証人又は証人になる可能性のあるものに対し、直接的にもまたは代理人を通じて間接的にも行ってはならない。(以下略)

 

10 悲しみまたは精神的痛みへの立ち入り

個人的な悲しみまたは精神的な痛みを伴っている事件においては、思いやりと分別をもって取材し、応接しなければならない。

 

11 罪のない親族および友人

新聞、定期刊行物は、公衆の知る権利に照らして必要な場合を除き、有罪確定者または犯罪容疑者の親族または友人の身元を公表するのは避けなければならない。

 

12 児童への面接または写真撮影

① 記者は、十六歳以下の児童の平穏な生活に影響を及ぼす問題について、その親または養育責任者の同席または同意なしには、その児童への面接または写真撮影をしてはならない。

② 学校当局の許可を得ずに、在校中の児童に対して取材目的で接近したりまたは写真撮影をしてはならない。

 

13 性的事件における児童

① 新聞、定期刊行物は、たとえ法律で禁じられていない場合であっても、性的暴行に巻き込まれた16歳以下の児童については、犠牲者、証人または被告のいずれであろうと、その身元を報道してはならない。

② 児童に対する性的暴行事件にかかる記事にあっては、加害者たる成人の身元は明らかにすべきである。

③以下略

 

14 犯罪の犠牲者

新聞、定期刊行物は、法律で認められる場合を除いて、性的暴行の犠牲者の身元を報道したり、身元の特定につながるような資料を発表してはならない。

 

15 差別

新聞、定期刊行物は、個人の人種、肌の色、宗教、性別や性的傾向もしくは肉体的、精神的病気または障害について、偏見を抱かせるような言及または侮辱的な言及を避けなければならない。(以下略)

 

16 財務に関する報道

① 法律で禁止されていない場合であっても、記者はみずから入手した財務情報を一般公表の前に自分の利益のために利用してはならず、また他人につたえてはならない。

② 記者は、自分または近親者が重要な経済的利害関係をもっている株式または有価証券の動きについて、その利害関係の存在を編集長または経済部の編集責任者に明らかにしないで記事を書いてはならない。

③ 記者は、自分の最近書いた記事または近く書こうとしている記事の対象となった株式、有価証券を直接または指名者もしくは代理人を通じて売買してはならない。

 

17 情報源

記者は、情報源の秘密を守るべき倫理的な責務がある。

 

18 公共の利益

 『公共の利益』とは次のように定義される。

① 犯罪または重大な非行を探知または発表すること

② 公衆衛生及び公共の安全を確保すること

③ 個人または団体のなんらかの言動が公衆に誤解を与えるのを防止すること。

以上の三つの定義に当てはまらないが、『公共の利益』にかなうものと問題提起された場合には、記事不服審査委員会は、当該編集長より十分な説明をもとめ、公共の利益にどのように寄与したかを検討するものとする