優良自然種子の管理及び利用促進に関する法律

 

 戦後の食糧不足の中で、自給率を上げていくべく19525月に制定されたのが、種子法である。種子法は、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆について、優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産について圃場審査その他の措置を行うことを目的としていた。ところが、この法律は、2017年に唐突に廃止されてしまった。

 

種子法は、農薬耐性遺伝子操作種子を世界的に販売しているモンサントなどにとっては、販売の重大な障害であるので、これら遺伝子操作種子の巨大産業の圧力によって、廃止されたものとみられている。今後、農家は、より高価な操作種子を毎年購入しなければならなくなり、次第に自給率も低下していくことが予想される。そればかりでなく、有機農家や小規模農家は、種子の管理を徹底しないと、遺伝子操作種子との交配が起こり、モンサントのような遺伝子操作(組み換え)種子会社から種子の所有権を主張されることが起こりうる。現に、米国では、被害者農家でありながらモンサントから訴訟を起こされている例が報告されている。

 

これは、食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約ITPGR-FA9条)に対する重大な挑戦でもある。同条約では、「農場が自ら保存した種子及び繁殖性の材料を保存、利用、交換及び販売する一切の権利を制限すると解釈されないものとする」と規定しているからである。

現在のところ、遺伝子組み換え種子の栽培は、バラ以外に認められていないが、多国籍企業の圧力によって、なし崩しにされる恐れが大きい。

 よって、遺伝子組み換え種子の栽培を防止し、あわせてこれまで、国と自治体が育成してきた優良な種子を保存し、その活用を図るため、以下のような法律を制定してはどうか

 

優良自然種子の管理及び利用の促進に関する法律

 

 1 国及び自治体は、種子法に基づき育成してきた優良な自然種子を保存、管理するとともに、その利用の促進を図るものとする。

 2 食料に供する遺伝子操作種子の栽培は、自然種子との交配を最小限に抑えるために必要なものとして政令で定める措置を講じなければ栽培してはならない。(密閉されたハウス栽培に限定する、または田畑の周囲に花粉の飛散を防ぐためにその周囲2キロにわたって緩衝地帯を設けるなどの措置である)

3 遺伝子操作種子で栽培された食用の穀物もしくは野菜を販売する者またはそれらの加工食品を販売するものは、売り場でその旨を明示しなければならない。

 4 遺伝子操作種子の輸入及び販売の状況並びにその環境及び人体にもたらした影響について、国は調査し、三年ごとに国会に報告しなければならない。

 5 所要の罰則を設ける。