財政法の改正で、予算制度の革新を

 

日本の政府予算・会計制度は、先進七か国の中で、一番遅れています。

従来の予算制度は、各省の積み上げを裁定する単年度会計であり、現金の出入りをみる現金主義を採用しています。

単年度主義ですので、年度のうちに無駄な事業でも使い切ってしまわないと、翌年の予算増加を勝ち取れないという心理がはたらきます。

これに対して、欧米は、NPM( new public management)方式で、歳出の上限額を決めて、トップダウンで予算を割り振り、かつ複数年度の予算制度を採用しています。出入りは、複数年の発生主義によっていますから、執行は状況に合わせて柔軟に行うことができます。

いうまでもなく、我が国の単年度主義会計では、中長期的な財務分析と財務管理がないがしろにされる恐れがあります。しかも、日銀を含めた特殊法人会計をあわせた「統合政府」全体の貸借対照表も、(内々には、作成されていると思われるが、)公表されたことがありません。このため、部外の学者、研究者が批判的に分析することもできない仕組みになっています。部外の専門家による厳密な分析無くして、中長期的な課題、改善点などを特定することは難しく、日本経済を総合的かつ戦略的に練ることができるかは大いに疑問であります。

 

 

日本の財政法には「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない」(12)との規定があり、単年度予算の原則が採用されています。これを複数年度会計に切り替え、中期的な予算展望の公表を義務付けるとともに、日銀を含めた「統合政府」の貸借対照表を作成することを義務づける財政法の改正が求められています。そうすれば、統合政府の負債は着実に減少していることが一目瞭然となるでしょう。

そうすると、財務省の消費税増税路線は、破たんしますから、財務省としては、省益をまもるために、旧式の会計で満足しているのでしょう。これで、損をするのは国民ばかりですね。