グーグル税(GAFA課税と課徴金)と電子商取引管理法

 

消費税を上げる前に、グーグル、アップルに課税すべき

Googleは、全事業の三分の一程を占めるヨーロッパにおける事業活動をアイルランド「経由」(米国外での収益については、米国とアイルランド両国からの課税を逃れる)で行なっている。その結果、220億ユーロの営業利益に対して収めた税金は4700万ユーロ(実質0.2%の納税)と、巧みにGlobal Tax Managementを行っている。

トランプ政権は、米系多国籍企業がオフショアで有する現金に対して、一度限りの税を課した。例えば、Appleの2520億ドルの「隠し金」(租税回避地にある海外留保金)に対して、380億ドル(4兆2940円:113円/ドル)を、米国政府に支払うように命じた。しかし、残りの2140億ドル(24兆1820億円:113円/ドル)は不問に付したのである。

 2016年8月に、欧州委員会は、アイルランド政府に対して、Appleが租税回避した過去10年分の税制優遇分を追加課税の対象にするように求めた。

Appleの収益のかなりの部分は、日本市場から得たものであり、日本政府は、消費税を上げる前に、米国以外の諸国と連携して、本来は日本で納めるべき税金をAppleから取り上げるべく最善を尽くすのが、筋であろう。

また、アマゾンは、2014年に日本で約8300億円の売り上げがあったのに、アマゾンジャパンが官報で明らかにした売上高は316億円。ほとんどは、アメリカ本社の収益としているからだ。amazonの市場浸食によって、中小の商店は衰退し、没落を続けてきた。アマゾンから、課徴金を徴収し、その収入を中小商店に配分する仕組みを築くべきである。

フェイスブックも、純利益で1兆9000億円を稼ぎながら、日本法人の純利益はわずか1102万円(17年)としている。

おりしも、英国政府は、20年4月から、IT税制を導入し、多国籍のIT企業から、税金を徴収すると発表した。日本政府も、これに倣うべきだ。

このほか、彼らは、優越的な地位を利用して、納入業者に不利益を強いてきた。

例えば、納入している日用品メーカーに不透明な協力金の支払いを要求する。一方的に利用規約を改正し、手数料や罰金を値上げする、有料サービスの利用を強制するなど、公正取引法に違反するような行為を行ってきたことが、経産省の調査で明らかになっている。

また、許可なく個人情報を収集分析し、これをネット広告に利用している、自らの処理する情報の開示に消極的などの批判も受けている。米司法省と米国の8州は、2022年1月にグーグルをオンライン広告市場での反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで裁判所に提訴した。訴状によれば、グーグルは、過去15年間競合他社を買収したり、自社のサービスの利用を広告主に強制したりするなどして、オンライン広告市場を独占し、競合他社や消費者に損害を与えたとしている。

よって、課税措置のほか、次のようなネット企業の商取引管理法を制定すべきと考える。

 

電子商取引管理法(要綱)

① 電子商取引の舞台(プラットフォーム)を提供するものは、納入業者と締結する契約書の標準(別に定義)をその舞台において明示し、公開しなければならない。

② 公正取引法に違反するとして提訴した業者または、公正取引委員会に情報提供した業者に対し、不利益な扱いをしてはならない。

③ 相手方の同意を得ずに、一方的に利用規約を変更してはならない。

④ 個人の同意なく、個人情報を広告のために利用したものは、広告収入の一定割合を課徴金として課すものとする。

⑤ 急激に市場を占有している電子商取引による激変を緩和するため、当該電子商取引に対し調整課徴金をかし、その収入は影響を受けた中小商店に配分する。

⑥ 違反に対し、罰則を設ける

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https://www.meti.go.jp/english/mobile/2021/20210423001en.html

経済産業省の指針を参照

 

GAFAM などは、一般にプラットフォーム・ビジネスと総称され、その不透明性、優越的地位の乱用が指摘されてきたが、新たに、ウーバーイーツのように労働問題に発展してきたものもある。


日本での配達員は約10万人と言われるが、配達員はウーバーの社員ではなく、「個人事業主」として配達を請け負っている。そのため、事故に遭っても会社負担の労災保険はなく、報酬の基準は、最低賃金を下回っている。

欧州ではこれら配達員の「労働者性」が裁判でも認められ、事故の際の社会保障や労働組合と企業の団体交渉などが認められるようになってきました。

日本でも、配達員たちがウーバーイーツユニオンを結成し、会社側へ報酬や評価に関する情報の透明性や、団体交渉を求める動きが始まっている

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なお、米首都ワシントンDCの司法長官は2018年12月、ユーザー個人情報の管理に不備があったとして米フェイスブックを訴えた。

プライバシー保護を巡る不祥事が相次ぐ=ロイター

プライバシー保護を巡る不祥事が相次ぐ=ロイター

訴状は主に今年3月に発覚した英コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカを通じたデータ漏洩を問題視した。さらにはケンブリッジ社へのデータ転売を15年に気づいておきながら18年まで公表しなかったこと、同社にデータ消去の要請を徹底できなかったことも不適正だとした。

一違反あたりの民事制裁金の最大額は5000ドルとされ単純計算で最大17億ドルの制裁がフェイスブックに科されることになる。