太陽光発電の規制法を

 

再生可能エネルギーの旗手として、太陽光発電が普及してきた。しかし、現行の固定価格での買い取り制度には、重大な問題がいくつか浮上してきた。まず、それらを列挙しておこう。  

 

① 中国の国有系企業である上海電力股份有限公司の日本法人が、安値を武器にして日本に進出している。山口県の岩国基地など重要な防衛基地の近くに設置されたメガーソーラー施設を、合同会社を通じて取得するなどの動きも盛んになってきた。中国は、国防動員法(2010)で在日中国人に対し人民軍への国防強力を義務付けているので、有事には、電力供給の停止を画策する恐れが生じている。合同会社は、株主への説明責任が生じる株式会社と異なり、透明性に欠けるので、合同会社の基幹インフラへの参入は、禁止すべきという論説もある(日本戦略研究フォーラム政策提言委員・平井宏治氏)国防動員法が発令された場合、中国企業の所有する発電所は、政府がこれを

 

② 2012年から再生可能固定価格買い取り制度(FIT)がはじまり、これによってメガソーラー業者が一斉に参入したが、買取価格が近年連続的に引き下げられたため大型の倒産が増えてきた。国内で約60万か所とされる太陽光発電は、ほとんど20年間のFITを活用しているが、FITの終了と同時に、原状回復しないで、土壌汚染を放置したまま、退去している。そこで、2022年7月から、発電所の廃棄費用を事業者に積み立てさせることとなった。しかし、積み立ての義務は参入から11年目以降に課されるので、10年以内に廃棄した事業者には廃棄費用の負担は生じない。この矛盾を解決するため、平井氏は、「メガソーラーの事業者に自治体が開発許可を出す条件として、土地の原状回復費用の預託を課すべき」としている。東京都は、戸建て住宅をふくむ新築建物へ太陽光パネルの設置を義務付ける条例をだそうとしているが、この場合、一定の預託金を課す条項を設けるべきであろう。

 

③ 太陽光パネルに用いる多結晶シリコンを製造させるためウィグル族を収容所で強制労働させている実態が、米戦略国際問題研究所(CSIS)によって、2021年4月に明らかにされ、これを踏まえて、2022年6月から 米国で、改正ウイグル人権法とウイグル強制労働防止法が施行された。これにより、強制労働に関与した中国当局者だけでなく、実質的な支援を行った非米国人・企業も米国内の資産凍結、ビザ発給停止、金融取引の禁止、行政・刑事罰の対象とされることとなった。すなわち、ウイグル族の強制労働の関与として、製品、技術、サービスの提供を含む実質的な支援を行った日本企業も制裁をうけることとなる。(2022年5月には、強制収容所における2万人以上の収容者のリスト、顔写真、共産党幹部の弾圧指示発言などの記録が流出した。新疆公安ファイル)

したがって、我が国としても、強制労働の成果と推認されるパネルを用いている中国製品には、一定の賦課金を課す法律を制定すべきと思われる。この場合、強制労働の成果でないと立証する責任は、中国側の業者に負わせるのである。実態を覆い隠し、嘘をつく習慣のある中国が相手だから、当然、立証責任を転嫁すべきと考える。