WTOの抜本改革--中国の独占と闘うために

 

トランプ大統領が、中国の覇権と闘うため、しきりに関税という武器を使って、中国経済の疲弊、知的財産権の尊重、通信傍受の恐れの除去等を画策しているが、これは、現在のWTO体制への不満の表れでもある。米中の覇権闘争は、最終的には、WTOルールの改革まで持って行かねば、解決できないものである。安倍総理は、これを理解し、WTO改革の旗を率先して振るべきであろう。それは、わが国の国益にもかなうことである。

 

最大の問題は、中国の鉄鋼、貴金属など国営企業が、豊富な補助金をバックに、我が物顔に世界市場を荒らしまわり、独占的な地位を確保しようとしていることである。また、共産党の私兵である中国軍の傘下の電子企業が、安価を武器に世界市場を独占し、相手国の秘密の経済、政治情報を盗んできたことである。共産党の要請を拒否できない中国企業は、WTOの前提として居る自由企業ではないので、これもWTOの恩恵を受けるべきでないことは言うまでもない。

 

中国の国家情報法(2017年)では、「いかなる組織も個人も国の情報活動に協力しなければならない」と定めている。中国で事業をおこなう多国籍企業の従業員も、中共の情報要求に従わざるを得ないので、その企業秘密すら盗みだしてしまうのである。

 

したがって、WTOのルールに以下を明記すべきである。

① 国営企業は、国の補助金を無制限に受けることができるので、WTOの優遇措置の恩恵を受けないものとする。

② 独裁政党の指示に従うことを定款に明記している企業も、同様とする。

③ 独裁政党の指示に従わない自由が制度上または事実上保障されていない国の企業も同様とする。

④ 前記の企業によって、被害を受けた国は、独裁国の企業の全部または一部に対し最大25%までの関税を課すことができる。

⑤ 独裁国の企業によって、営業秘密または知的財産を盗まれた国は、独裁国の企業の全部または一部に対し最大25%までの関税を課すことができる。

-------------------------------------------------------------------------------------

 

なお。中国の経済発展の原動力となっているのは、国家資本主義のシステムであるので、これに対抗する自由主義経済圏を構築し、サプライチェーンの自立を図る必要がある。このためTPP11協定を軸に、当面は東アジア諸国の結束、次に米欧の参加を呼びかけるべきであろう。