外国により侵害された日本国民の人権の救済に関する法律(案) 

     ーー拉致、抑留対策法案として

 

 北朝鮮に拉致された日本人の帰国のために、政府と外務省はこれまで実効的な手を打ってこなかった。政府は、威勢の良い掛け声ばかりで実効のある対抗法律を制定してこなかったし、外務省は、誠意外交の名のもとに、対北外交を演じているふりをしてきたにすぎない。たとえば、拉致被害者の調査についても、なんら期限を設けず、また約束が破られた場合の制裁措置についても言及せず、結果として北にうまくだまされ、時間を稼がれたに過ぎない。政府と外務省は、このような「したふり外交」をいつまで続けるつもりなのだろうか。

 

 北のような独裁国に対しては、きちんと対抗措置を講じ相手側がこれ以上拉致を続けると重大な不利益を被ることを気づかせなければ動かないのである。彼らを説得する一番効果的な手法は、「目には目を、歯には歯を」である。いつまでも、無責任な外務省に任せておかず、ここは国会が率先して行動し、議員立法をもって対抗措置に動き出すべきである。

と同時に、北の秘密警察と裏で交渉しうる能力を持っているわが公安警察に外務省と同じだけの工作費を与え、裏の交渉を開始させるべきであろう。外交の一元化とは、外務省において一元化することではなく、内閣において一元化することであるから、総理が警察に権限と工作予算を与え、秘密交渉を開始させればよいのである。

 

また、日本にある朝鮮総連は朝鮮労働党の日本支部で、北朝鮮の事実上の大使館である。傘下には金日成主席の主体思想を広める朝鮮大学校や在日韓国民主統一連合(韓統連)があり、慰安婦像の設置を推進しているのもかれらである。朝鮮総連と傘下の団体は、日本の名誉を傷つけ、日韓の離反や沖縄の反日感情を招くことを企図しており、日本の国益を大いに侵害しているにもかかわらず、彼らの活動は野放しである。近年は、朝鮮総連に代わって、朝鮮商工会が影響力を行使しつつある。

 

 

 米国には、IEEPA法(国際緊急事態経済権限法,1977)があり、これにより、安全保障・外交政策・経済の安定に対する異例かつ重大な脅威が生じたとき、大統領令で金融制裁などを行うことができる。すでに、イランの核開発、北朝鮮の核拡散やマフィア、テロリストの脅威に対し、対象国の資産凍結・没収、外国為替取引・通貨及び有価証券の輸出入の規制・禁止、査証の発給禁止を実施してきた。

 日本の指定暴力団やその幹部に対しても、米財務省は同法に基づき経済制裁の対象に指定し、これまで山口組、住吉会など7団体と17個人の米国内の資産を凍結し、米国の個人、企業に7団体との取引を禁じている。

 

わが国も、中国、北朝鮮をにらみIEEPA法のような安全保障や経済システムの安全を視野に入れた包括的な対抗法律を制定すべき時期が来ているが、とりいそぎ、下記の法律だけでも早急に施行してもらいたい。アメリカに泣きつくだけの拉致外交は世界から笑われていることに、お人よしの外務省はまだ気づいていない。きちんと議員立法で、「報復」という手段を整備しておくべきである。

 

(ちなみに、金正男暗殺事件の直後、マレーシア警察は容疑者として北朝鮮人1名を逮捕、残る7人は、北朝鮮大使館にこもり、警察への出頭命令に応じなかった。その後、北朝鮮が平壌在住のマレーシア人外交官を事実上人質に取り、マレーシア政府に北朝鮮人容疑者全員の出国を迫った結果、彼らは何もお咎めを受けることなく平壌に戻った。人質の交換というのが、北朝鮮の外交指針であるから、わが国も北と同じ手を使うことが、一番説得力のある手法である。)

なお、各国の人権侵害制裁法について紹介した論文を掲げておく、

日本版の制裁法においては、朝鮮総連幹部の資産凍結、や通信制限などを含めるべきであろう。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_12299753_po_085802.pdf?contentNo=1

 

<趣旨> 北朝鮮に拉致された日本人が不法に抑留されたり、中国、韓国など海外で日本人記者が不当に拘束、抑留されたりしている現状にかんがみ、対抗措置を講じるものとする。

                                        

<内容> 

 1 日本国民を不法もしくは不当に拘束、抑留又は出国禁止している外国または日本国領事との面会もしくは自由な通信連絡を許可しない外国に対し、これに対抗するためその国を実質的に代表すると認められる団体またはその団体の職員の滞在・移動、通信連絡もしくは金融取引を制限しまたは当該団体ならびに団体職員の資産を凍結することができることとする。これらの措置は、拉致被害者等の当該日本国民が帰国した場合に解除するものとする。

 

(詳細は、政令で定める。朝鮮総連、朝鮮商工会及びその傘下の団体,北鮮系銀行が制裁の対象となる。自宅軟禁、渡航、再入国の禁止、偽名による通信網の利用の禁止、国内の移動の制限、資産の凍結、銀行取引の制限を定める。財務省、法務省などの所管する法律を一本化し、強化すべきである。処分は、政令で、臨機応変に発動できるようにする。)

 

2 日本人拉致を企画、ほう助した団体、企業もしくは個人の金融取引を禁止し、資産を凍結し、または査証の発行を制限することができる。

 

3 日本人記者を不法もしくは不当に拘束、抑留または出国禁止している国に関し、これに対抗するため日本に駐在する当該国を代表する報道機関の記者の同数の移動制限、通信制限を課することができることとする。相手国の裁判によって、日本人記者が拘束されている場合は、司法援助を国が行うこととする。移動、通信の制限は、日本人記者の拘束、抑留が解除された段階で、ただちに解除するものとする。 

(日本人記者が中国で拘束された場合は、中国国営の新華社などの記者に対し発動する。国外への移動の禁止、通信連絡の制限、取材地域の制限、居住の制限など詳細を政令で定める。)

 

4  日本国民を不法もしくは不当に拘束、抑留又は出国禁止している国を実質的に代表すると認められる団体及びその団体の経済的支援(融資、投資を含む)を受けている団体又は個人は、四半期ごとに、その活動内容(政令で定める)を国家公安委員会および都道府県公安委員会に届け出なければならない。

 

5 所要の罰則を設ける