核兵器不拡散条約の脱退に関する国会決議

 

北朝鮮は、2017年6月21日と8月29日に日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した。

同国は、2005年に核保有を公式宣言し、2013年から2017年9月まで、6回の核実験をおこない、さらにその規模を拡大する核実験をつづけようとしている。特に、9月3日、北朝鮮が「大陸間弾道ミサイル用の水爆の実験に成功した」と発表したことは、見逃すことのできない脅威を我が国に突き付けた。また、日本に対し核兵器を使用するという脅迫を繰り返し、公的な機関を通じ示唆している。

 

これらの異常な事態は、国際社会に対する重大な挑戦であるばかりでなく、わが国の安全と平和を著しく脅かすものでもある。2017年における北朝鮮の弾道ミサイル連続発射と大規模な核実験は、質量ともに従前にみられなかった異常な事態であり、核兵器不拡散条約にさだめる脱退条件をみたす「異常事態」に該当する。

 

よって、国会は、内閣が2017年9月末日に、同条約から脱退することをあらかじめ通告し、3か月後の2018年1月1日より、正式に離脱するよう宣言することを求め、ここに決議する。

 

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ロシアが非核兵器保有国のウクライナに対し戦術核を用いたならば、ロシアと紛争を抱えている我が国は、直ちにNPTから脱退することを通告すべきであろう。アメリカがロシアの戦術核使用についてなんら有効な反撃をしないなら、それはNPTの有名無実化を意味することになる。

 

参考までに、同条約第10条第1項は、次のように定めている。

「加盟国は、この条約の主題(核兵器の不拡散)に関し、その至高の国益を危険にさらす異常な事態が発生したと判断した時は、条約から脱退する権利を主権の行使として保有する。当該加盟国は、脱退の通告を3か月前にすべて加盟国および国際連合安全保障理事会に対し行うものとする。この通告には、至高の国益を危険にさらしたとみなす異常な事態についての声明を含むものとする。」