新国際連盟の創設に関する決議

 

 「国際連合」は、「進駐軍」や「民主主義」と並ぶ最悪の誤訳である。

 戦後、外務省は占領軍を進駐軍と、デモクラシーを民主主義と意図的に誤訳した。デモクラシーは、意思決定のための制度であって、イズム(基本思想)ではないから、本来は「民主制」または「民主政体」と訳すべきものである。この完全な誤訳のために、日本人は、民主主義を変えてはならない金科玉条のものと刷り込まれてしまったが、本来は、手続き、制度なのだからもっとよいものを工夫し、改良する余地があるのである。

 

同じように、「国際連合」(UN、united nations )は、第二次大戦に勝利した連合国の構成する連合国機構から出発したものであって戦勝国が有利な立場に立っていることから、国際的に公平な連合を意味する国際連合と訳すのは完全な誤訳である。日本やドイツは、あくまでも付随的におまけとして参加を認められたにすぎず、常任理事国となることは最初から予定されていないし、アジアでの覇権を狙う中国は、日本がUNにおいて中心的な役割を果たすことには徹底的に妨害を加えてくる。

 

 しかし、その国際連合も、いまや制度疲労の色を濃くしている。シリアの内戦、ロシアのウクライナ侵攻、中東難民の流入、地球温暖化、中国の南シナ海侵略など山積する諸問題を有効に解決できない機構となっており、米国もまたこれにいらだちを感じ始めている。拒否権を持つ常任理事国は中東介入、難民受け入れ、シナ海侵略などの課題について、共同歩調をとることができず、個々の国益をむき出しにしている。また、発展途上国は温暖化対策で数の力で有利な条件を獲得しようとする。

 

 例えば、2020年10月の国連総会で、中国のウイグル人権弾圧に関する審議が行われたが、非難する国40か国に対し、中国を擁護する国が45か国に上った。中国は、経済協力を餌に途上国の擁護を勝ち得たのである。

一国一票という投票システムは、完全に破綻していることが明らかとなった。

 

この際、意思決定の方法をかえて新たな国際連盟を創設し、国連を補完していくことが必要になってきたのではないだろうか。迅速な意思決定と共同行動のためには、民主制の国々からなら同質的な機構をつくり、個々の問題については、協働(coalition)、で行動し、拒否権をみとめず代わりに加重投票権によって採決するシステムが求められている。

 

 そこで、次のような新国際連盟を提唱したい。 国会有志がこれを議論し、決議に持ち込むことを期待したい。

 

  1.  加盟国は、民意を反映する選挙制度をもつ民主制の国々または自立した地域から構成されるものとする。(従って、共産独裁、軍事独裁の国は、排除され、ロシアや台湾は加盟資格をもつ。日本、米国、インド、ブラジル、豪州などが欧州などが主要なプレーヤーとなるだろう)

  2.  議決権は、国力の加重平均で計算する。すなわち、人口、経済力と、国際的貢献度を加味した指数で、国ぐにの議決権を決定する。それは、5年ごとに見直すこととする。 (経済援助と経済力が評価されるから、わが国の発言権は、国連以上に高まることになる)

  3.  どの国にも、拒否権は、あたえない。議案により、三分の二、または二分の一の加重投票を得たものを総会の決議とする。(軍事力の行使または軍の派遣を伴う介入は、三分の二以上の要件を必要とし、 それ以外の案件は二分の一ルールで採決する。軍隊の派遣については、有志連合軍の結成により対処する。効果的な介入を望む米国は、国連よりも意思決定がはやいこの国際連盟を支持すると思われる)

  4. 総会決議を不服とする国は、脱退することができる。
  5.  連盟に属する国は、連盟の仲裁裁判所の仲裁を受け入れる義務を持ち、受け入れない場合は、自動的に連盟の参加資格を失うこととする。(仲裁判決に強制力はないが、受け入れるか否かは、連盟脱退により被る不利益 を考慮に入れて、判断することになろう)

  6.  連盟の議決を履行しない国、妨害する国は、参加資格を失うこととする。(議決を履行するか否かは、連盟脱退による不利益を考量したうえで判断されるだろう)

 

 連盟は、現在の国連を補完する制度として、当初は発足するが、次第に

 影響力が高まるにつれて、国連にかわる意思決定機構に成熟していくことが期待される。賞味期限の切れた現在の国連を安楽死に導いていきたい。

 

 

なお、現在の国連に対する分担金は、理事国でない日本が約1割と米国に次いで多額の費用を負担している。これを、国会決議により、半分の執行停止を求めるべきである。

 

 

なお、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2015(平成27)年、中国が申請した「南京大虐殺文書」を「世界の記憶」(記憶遺産)に登録したが、その審査が透明性や公平性を欠いていたことから日本政府はユネスコへの分担金約38億5千万円の拠出を同年末まで留保した経緯がある。

 2017年には国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会が慰安婦問題をめぐる日韓合意に関し、一方的な見解に基づいて、日本政府の取り組みが不十分だとしたが、このように国連が宣伝戦に使われている現状に強く異議を提出しなければならない。政府が動かないなら、国会が率先して動くべきである。