武装警察隊の設置を急げ

 

習近平政権は、遅くとも2027年までには台湾を併合する意思を固めたとみられ、そのために台湾を屈服させる超限戦の準備を調えようとしている。台湾が併合された場合、我が国のシーレーンも中共の支配下に置かれるので、台湾有事は日本有事とみなして防衛強化を急ぐ必要がある。

最悪の場合、台湾侵攻に合わせて、北朝鮮とロシアからも対日侵攻が同時に行われることも予想される。沖縄、尖閣ばかりでなく、北朝鮮からのミサイル攻撃と北海道への武力侵略という3正面に対処しなければならないのである。

 

ところが、自衛隊の限られた人員、装備、弾薬をみると、とても3正面に対処できる状態にはない。南西方面に限っても、2週間以上の継戦能力がないのである。これは、財務省が緊縮財政路線を過去30年以上にわたって継続してきた結果である。

 

さらに加えて、超限戦を展開する中共軍は、南西方面への武力侵攻と同時に、国内の電力網や交通・通信網の破壊とサイバー攻撃を行うであろうから、とても自衛隊だけでは対処しえないことは明らかである。したがって、自衛隊を補完して国内のインフラの確保、物資輸送等に当た組織が不可欠となる。

すなわち、国内の原子力発電所、送電網、変電所、通信システムの防衛等に当たる国家組織が必要である。また、国境と離島の防護、国際空港と国際港湾の防護も担当する組織が欠かせない。

これらは、全国的規模で情報共有しなければならないので、都道府県警察では間に合わず、国家警察としなければならない。となると、警察庁の中に国家警察として、武装警察隊を設置するのが良策であろう。

 

すでに、中共は、解放軍と並ぶ組織として、武装警察隊を全国規模で展開している。これは、もっぱら、人民の反抗、騒乱を鎮圧するための組織と位置付けており、その予算規模は、解放軍に匹敵する程である。これに対し、我が国の武装警察隊は、国民の抵抗等を鎮圧するためのものではなく、重要インフラと国境、離島の防護に専念し、自衛隊の防衛を補完しようとするものである。

そこで、原子力発電所を防衛するための短距離ミサイルとドローン、国境と離島を防護する機関銃、機関砲、サイバー攻撃の防衛と反撃に当たる専門部隊等も必要となってくる。

 

もう一つ、必要なのは、被災者の救急、救護、医薬品や燃料、物資の輸送に協力し、郷土を自衛しようとする郷土防護隊の設置である。現在、国民保護法により、各地域は災害等に即した国民保護の計画を立てるよう求められているが、実務を担当する組織が結成されていない。早急に、地元の消防団を中核として、郷土防護隊を編成することを要望しておきたい。

 

戦後一貫して、国の防衛は、米軍に依存してきたため、自衛隊の人員も装備も限定され、自衛隊の後方を支援する組織もないがしろにされてきた。

今、ここにある脅威をしっかり見定めて、不十分な自衛隊の戦力を補完するものとして、武装警察隊と郷土防衛隊の設立を急いでもらいたい。