記者クラブの自由化に関する法律案

 

我が国の報道の自由度は、freedom house の調査では、世界44位となっている。(国境なき記者団という得体のしれないグループの調査では、韓国、香港よりもわるいという72位となっているが、その評価基準を公表していない。)

 

日本の報道は、海外ニュースの分析が一面的であること、米国や中国におもねる記事が多いこと、財務省など官庁のネタ元に反対する記事を書かないこと(消費税の悪影響は決して書かない)、イデオロギーまたは感情から書かれた随筆が多く、正確な事実認識に基づいた多面的評価の記事に乏しいことなど、我が国の報道状況は、西欧の記事に比べて質がきわめて低いことは事実である。

 

これは、結局、真実を深く追及する報道の競争がなく、それぞれの新聞社、テレビ局が、たこつぼのように自社の殻に閉じこもり、既得権益に自己満足していることが要因であるが、それにくわえて記者クラブという閉鎖的なサークルで、政府の意向を「忖度」することが習慣となっていることも原因であろう。(森友、加計学園にみられた忖度を、日々、記者クラブは繰り返している。)

このような既得権益にしがみつく利益集団に任せている限り、我が国の報道の質が向上しないことは確かである。

 

したがって、まず、記者クラブは、週刊誌や外国の報道機関にも開放し、分析の質について競争を促進させることが求められる。また、政府や自治体が負担している記者クラブの通信費、光熱費、人件費等は、クラブ側に持たせることも必要である。よって、次のような法案を求めたい。

別に法律でなくても、政府、自治体が決断すれば済むことであるが、かれらは(持ちつ持たれつの関係もあって)言い出しにくいことだから、かわって議会が立法するほかないだろうと思う。

 

記者クラブの自由化に関する法律

 

1 政府、自治体は、報道記者が常駐する施設を無償で供与してはならない。記者クラブという常駐の施設を提供する場合は、これに要する経費はすべて報道側に負担させなければならない。(なれ合いを避けるために、必要である)

 

2 政府、自治体が開催する記者発表には、あらかじめ登録された定期刊行物の記者をすべて招待しなければならない。ただし、日本の記者の全部もしくは一部を不当に会見から締め出し、または不当に追放するなど差別的な扱いをしている国の記者または政府批判の許されない国の記者は、これを排除するものとする。(中国や韓国側の不当な扱いに対抗するためである。)

 

3 記者登録および更新の要件は、政令でこれを定める。(報道組織の最高責任者による記者の識見の保証、報道組織に入社して10年以上の取材経験のあるもの、過去10年以内に犯罪歴のないもの、報道組織が自国の政府の管理下にあり、政府の批判が許されない国でないことなど)

 

入社数年の未熟な記者が、事実確認をしないで個人的意見を勝手に述べるなど、記者の資質が劣化してきているのは、記者教育が十分なされていないためだろう。事実と価値判断を峻別しないで書いた記事は、結局のところ、随筆でしかない。随筆を読むのに、高い料金を支払うのは馬鹿げていると考える読者、視聴者が増えてきている。