芸能事務所の登録法

 

SMAPの独立、移籍をめぐる報道が過熱している。独立や移籍を望む芸能人と所属芸能事務所との対立、軋轢は、ときに暴力団などの介入を招き、これまでもたびたび報道されてきた。

芸能事務所は、体質がいまだに古く、所属する芸能人には不当に低い給料しか払わず、音楽著作権などの利益も独り占めしてきた。これに対して、権利にめざめた若い芸能人たちが立ち上がり、抵抗し始めている。(芸能界の実態については、星野陽平『芸能人はなぜ干されるのか』に詳しく書かれている。)

 

ところが、芸能事務所を規制する法律がないため、事実上排他的な力を持つ事務所側が有利にことを運んできたのが実情である。カリフォルニア州では、芸能代理人法を制定し、低い地位に置かれてきた芸能人の地位と尊厳を保つよう制度を改正した。これに習い、わが国でも、類似の法律を制定する時期が来たように思われる。以下はその見本の一つである。

 

芸能事務所の登録等に関する法律(概要)

 

1 映像、音楽、音声、演劇もしくは舞踊を提供する出演者を派遣、斡旋することを業とするもの(芸能事務所)は、都道府県公安委員会に登録しなければ業を営むことができない。登録の有効期間は、2年とする。

 

2 芸能事務所は、次に定める欠格事由(省略)の一に該当する場合は登録を受けることができない。(管理者が、前科のないこと、反社会的勢力でないことなど)

 

3 芸能事務所は、登録を受ける場合は、所定の登録料を支払い、詐欺、不当表示、契約違反など不法行為の損害賠償保証金として5000万円を供託するものとする。

 

4 登録を受けた芸能事務所は、登録証および派遣、斡旋手数料体系を店舗内の玄関のよく目立つ場所に掲示しなければならない。

 

5 公安委員会は、取り消し事由(省略)の一に該当する場合は、登録を取り消すものとする。(不法行為、虚偽の申請、反社会的勢力との交際など)

 

6 芸能の提供に関し、芸能人と芸能事務所が締結する雇用、出演または知的所有権に関する契約は、すべて公安委員会に提出しなければならない。その契約書には、別に公安委員会の定める派遣、斡旋に関する手数料率の範囲内の手数料率が記載されていなければならない。

 

7 芸能事務所は、芸能人との雇用、派遣契約に当たり、芸能人の代理人としての弁護士を立ち会わせなければならない。

 

8 芸能事務所は、芸能人の代理として金銭の支払いを受ける場合は、直ちにその全額を信託口座に預け、手数料を引いた残額を30日以内に芸能人に支払わなければならない。

 

9 芸能事務所は、芸能人に対し管理、養成、訓練など出演の斡旋、派遣以外の名目で手数料または対価を得ようとする場合は、提供するサービスに応じ個別に契約を締結しなければならない。

 

10 芸能事務所は、公安委員会の定める書類を六年間保持しなければならない。

 

(所属芸能人の連絡先、契約書、従業員、下請け会社など)

 

 

 

11 公安委員会は、芸能事務所に立ち入り、必要な検査を行うことができる。

 

12 芸能事務所は、芸能人の募集にあたり、虚偽、誇大表示または誤解を招く表現を用いてはならない。募集に用いた広告、チラシその他の宣伝物は、その記録及び録音を3年間保管しなければならない。

 

13 芸能事務所は、雇用する芸能人による労働組合または事業協同組合の結成を妨げてはならない。

 

14 芸能事務所またはその実質的に支配する関連会社は、番組の制作または興行の主催を行うことができない。

 

 15 芸能事務所の職員は、雇用または募集する芸能人(候補を含む)に対し、名目または理由にかかわらず、雇用、出演、または知的所有権の帰属に関する強要、威迫、脅迫、嫌がらせなど芸能人の不快に感じる行為またはその教唆、ほう助をしてはならない。

 

16 芸能事務所の職員は、雇用または募集する芸能人(候補を含む)に対し、名目または理由にかかわらず、その身体、精神または財産に対する強要、威迫、脅迫、嫌がらせなど芸能人の不快に感じる行為またはその教唆、ほう助をしてはならない。

 

17 芸能事務所の職員は、かつて所属した芸能人または他社に所属する芸能人の出演を妨害する行為またはその教唆、ほう助をしてはならない。

 

18 芸能事務所は、芸能人の移籍または独立を妨げる協定または了解を交わしてはならない。

 

19 放送局は、放送局またはその実質的に支配する関連会社が保有する知的所有権(原盤権、音楽著作権など)にかかる番組を公共電波を用いて放送してはならない。

 

13 所要の罰則を設ける。