外国代理人登録法によって、外国の宣伝工作と技術工作を防止する

 

 中国、ロシア、イスラエル、アメリカなど世界の工作機関は、我が国の影響力のある人物を代理人に仕立て上げ、その国益にあうような発言をさせています。報道界、政財界、官界、学会、宗教界などにその代理人をひそかに埋め込み、有利な情報または虚偽情報を流させ、わが国の世論を誘導しようと試みています。

 

 また、これらの代理人をつかって政財官界にロビー活動を展開し外国に有利な政策を講じさせたり、企業の技術者を引き抜いて先端技術情報を取り込もうとしています。

 

 たとえば、中国の場合、共産党中央宣伝部、対外連絡部の指揮のもとに、国家安全部や人民軍が、工作員を放ち、我が国の記者や有名人に、沖縄の米軍基地に反対させ、集団安全保障法案に反対させ、あるいは靖国参拝に反対させるなどの活動を執拗に展開しています。

 それら代理人は、多くの場合、「中国の古い友人」、「友好人士」と呼ばれ、自尊心をくすぐられているのが実態です。中には、共産主義イデオロギーに洗脳されたものやハニートラップに引っかかって脅迫されたものもいますが、大部分は多額の報酬や有利な便宜供与をえて活動している者たちとみられています。

 

 また、朝鮮総連や在日科学技術協会のメンバーは、わが国から核技術などを窃取することを目的に京都大学などに対して秘密工作をすすめていることも暴露されました。

そのほか、中央アジア出身者がにほんじんになりすまし、ロシアのスパイとして活動していた事件(1995)、離島に中国人女性がきてスナックをはじめ、日本人男性と結婚するが、男性が急に死亡した事件など、巧妙な背乗り工作は続いている。

 

 <アメリカの制度>

  法治の国、アメリカは、こうした内側から国論を誘導したり、先端技術を窃取しようとする外国代理人の活動を監視するため、外国代理人登録法(22.USC.611)とロビー活動公開法(2.USC.1601)を制定しています。

 すなわち、外国の政府、政党や企業、団体の利益のために政治活動や宣伝活動を行い、あるいは官庁や議会に対して働きかけを行うものを「外国代理人」と位置づけ、外国代理人には司法省に登録し、半年ごとに活動報告を行うことを義務づけています。これに違反した場合は、5年以下の禁固または1万ドル以下の罰金を課されます。

 ですから、米国人の広報コンサルタントも外国の利益になる広報を行う場合(その認識は必要とされません)、登録しておかねばなりません。そして、半年ごとに、誰に金銭や報酬をいくら支払いその他便宜供与を与えたか、司法省に届け出なければなりません。(ただし、米国の報道機関は登録義務から免除されています)。届けられた情報はだれでも閲覧できるように公開されますので、これによって誰が外国の利益代表であるかを国民に広く知らせ、注意を喚起することができるのです。どのような個人や組織が外国の利益のために働いているかを知ることは、民主主義に不可欠な要素であると米国は考えているわけです。

 

我が国も、これにならったものを早く制定しなければ、内部から間接侵略され、世論を操作され、先端技術とノウハウを盗まれることになり、国家防衛の基礎が掘り崩されることになりかねません。

特に懸念されるのは、2017年に中国は、国家情報法を制定し、国内外を問わず中国籍を持つものは政府の諜報活動に協力しなければならないと定められました。協力しない場合は、その家族が脅迫、迫害を受けることになります。

したがって、情報協力の義務を負わされている外国の国民は、すべて「外国代理人」とみなし、報告させる必要が生じています。また、そういう国民が管理する組織(同郷会、孔子学院など)もすべて外国代理人とみなす必要もあります。

 

なお、台湾の反浸透法については、「海外のユニークな法律」の項目を参照してください。

 

 外国代理人登録法(要綱)

 

 1 外国の政府、政党もしくは外国の企業、団体の利益のために、我が国の公職にあるもの(議員、公務員、国立大学教授など)または公職にあったものに対し、ある行為をとるよう、もしくは取らないように働きかけまたはその意見に影響を及ぼそうと試みるものは、国家公安委員会に外国代理人として登録しなければならない。

 

2  外国の政府、政党もしくは外国の企業、団体の利益のために、日本国民に対し広報活動を行い、または国民から取材しようとする者(個人または組織)は、外国代理人として登録しなければならない。(ただし、日本人または日本の組織が実質的に支配する報道機関は、この登録義務をまぬかれることとする。外国人または外国の組織が実質的に支配する報道機関は、登録義務がある。)

3 外国の政府、政党もしくは外国の企業、団体の利益のために、官公庁または日本企業に在職する職員を採用し、または採用のあっせんを行おうとする者は、外国代理人として登録しなければならない。

 

3 登録した外国代理人は、半年ごとに、その行った活動の内容(接触相手、接触の内容、報酬の支払い、便宜供与、資金源など)について国家公安委員会に報告しなければならない。外国代理人が雇用しまたは業務を委託する者についても、その異動の都度、国家公安委員会に報告しなければならない。

4 自国の法律により、情報提供の義務を負わされている外国の国民は、この法律において外国代理人とみなす。当該国民が運営、管理に携わる団体、企業も外国代理人とみなす。

 

 5 報告の内容は、官報に公示するとともに、国民が容易に閲覧することができるよう電子網に公開しなければならない。

 

6 公職にある者またはあった者が、その職務内容に関し、登録された外国代理人から陳情、請託などの働きかけを受け、または報酬、便宜供与を受けた場合は、遅滞なく、国家公安委員会に届けるともに、その所属組織にその内容を報告しなければならない。

7 所要の罰則を科する。