中部千島買収の国会決議を(北方領土問題の解決のために)

 

 

安倍総理は、ロシアのプーチン大統領と会談し、北方領土問題については、「新しいアプローチ」で解決の糸口をつかもうとしている。今はロシアにとっても、我が国にとってもまたとない好機である。

 

 というのも、現在ロシアは、西側の経済制裁にあって苦しんでおり、そのうえ原油価格もバーレル当たり50ドル台に急落し莫大な財政赤字に悩んでいる。シリアへの軍事介入の経費も財政を圧迫している。その結果、ルーブルは史上最安値、実質賃金は2015年に9%減少、財政赤字はDGPの7%を超える勢いで、2016年末には景気調整基金も底をつきそうである。経済苦境は、少なくともあと数年は続くものとみられる。

 

 ロシア国家統計局発表によると、2018年のロシア人の実質所得が17年より0・2%減り、5年連続の減少となった。所得の5年連続減少はソ連崩壊後の混乱が続いた1990年代にも起きていなかった上、プーチン露大統領らの増加予測も外れたので、政府当局に衝撃を与えている。

 この際、ロシアとしては、西側の弱い輪とみている日本を切り崩し、天然ガスの輸出拡大に結び付けたいところである。このようなロシアの苦境は、我が国にとって政策オプションの幅が増えることを意味している。

 そこで、この際、国会は「エトロフ島の北にあるウルップ島からマカンル島までの中部千島の全部または一部を買って、国境を画定する用意がある」と決議してはどうか。我が国にとっては漁業資源が増え、ロシア側にとっては財政の改善に結びつく。ロシア側は、入手した資金でシベリアの開発を行うことができ、その大部分は日本企業が請け負うことになるから、悪い話ではないだろう。

 

 

 

この提案は、北方領土の「返還」ではなく、「国境の画定」というところが味噌である。 「返還」だと、ロシアのメンツが立たないが、「国境の画定」であれば、交渉の余地があるとロシアは考えるであろう。

もし、プーチンがこの決議に関心を示すなら、両国の外交当局が、購入する地理的範囲(「千島列島の一部」)の定義をめぐって、巧妙な玉虫色の文章を作ればよい。

すなわち、日本側にとっては、北方領土の北にあるウルップ島などを含ませれば、北方領土以外の諸島を意味すると解釈でき、ロシア側にとっては、北方領土を含む地域と解釈できるあいまいな外交文書を作成すればよいのである。

「千島列島の一部」の購入資金には、戦後ロシアが設置してきた北方領土の発電施設、港湾施設、道路網を買い上げる資金は含まれるが、国後、択捉島そのものを買うわけではないと説明することができよう。他方、ロシア側は、北方領土を返還するのではなく売却するのだと国内向けに宣伝することができよう。

 

 

 かくして、両者はハッピーエンドで、国境の確定が行われることになる。

しかし、ここで最大の伏兵が潜んでいる。日ロの接近を好ましく思わないアメリカがあの手、この手で妨害してくることだろう。ロシアに経済的利益を与えるべきでないと主張してくるだろうが、日本側は、これは平和条約締結をめざす国境画定交渉であって、経済的利益を与えるためのものではないと、突っぱねればよいだろう。支持率の高い安倍総理であれば、これくらいの抵抗は難なく行えるであろう。

 

 もう一つ、財務省の抵抗が予想されるが、獲得した島々の漁業権を売り、北方領土の土地を販売し、無人の島を特殊廃棄物処理用として電力会社に買わせれば、費用の半分以上は回収できるだろう。ロシアは、獲得した資金でシベリア開発をおこなうことができ、これに日本企業が協力するから、わが企業群も潤うはずである。

 この交渉が成功すれば、安倍総理は支持率が急上昇し、国内の批判が高まっているプーチンの人気も回復することであろう。

 

あとは、揚げ足取りの得意な国内のジャーナリズムと野党が、日ロの勧進帳読みを黙って見過ごしてくれるか、否かにかかっている。プーチン弁慶と安倍牛若の演技をだまって見過ごし、難関の安宅関を通してくれるだけの度量をもってほしいものである。