通信傍受法の対象拡大が急務

 

通信傍受には、行政傍受と司法傍受の二種類がある。

行政傍受とは、国家の安全保障または治安維持を目的として、諜報機関、防諜機関、または行政警察が行うものであり、その承認、授権は、主務大臣または大統領(総理大臣)によって与えられ、裁判官の令状を必要としない。

 

これに対して、犯罪の捜査および訴追を目的とする司法傍受は、事前にあるいは緊急時にあっては事後に、裁判官の令状を要するものであり、この司法審査を経ない司法傍受は無効とされ、それによって得られた証拠は法廷において採用されない。(米、独、仏、スイス等)

例外的に、情報に対する嗅覚の鋭い英国だけは、捜査目的の傍受についても、司法審査を要せず、内務大臣など傍受機関の主務 大臣の許可だけで足りるとしている。

 

わが国には、まだ行政傍受の根拠法が制定されていないが、国家の熾烈な生き残りのためには、避けて通れない。一刻も早く、安全保障と治安維持を目的として、独、米並みの行政傍受法の制定が望まれている。

 

司法傍受に関しては、やっと平成11年に「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」が制定されたが、これは、組織犯罪を念頭に置いて、「数人の共謀によって実行される組織的な殺人、薬物及び銃器の不正取引に係る犯罪等の重大犯罪」を対象として行われるものと制限されている。

 

しかしながら、外国の工作員による企業秘密の窃取、電力網、通信網を妨害する電子妨害工作、拉致事件、報道記者の拘留などがやまない状況にかんがみ、これらについても司法傍受の対象として取り組む必要があろう。本来は、行政傍受法により合法化すべきであるが、それができるまでの間、司法傍受の対象を拡大すべきと考える。