警察改革――国家公安院の四つの機能

 

 戦後70年経過し、自治体警察を主体に置く現行の警察制度にほころびが見え始めている。

 現在の制度は、自治体の安全を図るための都道府県警察が主体となっており、国家的な治安を担当する国家警察が存在しない。このため、国家の安全にかかわる国際テロ、国際サイバー攻撃、スパイ事案、海外からの謀略宣伝、巨大災害なども、これを直接担当する組織がなく、あくまでも都道府県警察の任務として個々ばらばらに処理されてきている。警察庁は、都道府県警察の調整事務をつかさどるに過ぎず、指揮命令権は与えられていない。このため、上記の国際犯罪を取り締まるための権限法が海外に比較してきわめて少なく、摘発するうえで重大な障害となっている。

 

 また、戦後の警察は、アメリカの警察制度の影響を受け、法の執行機関としての役割に限定されてきたので、危機管理のための新規立法(テロ対策法、サイバー防衛法、スパイ取締法、外国代理人法、土地保有の規制法、国境警備隊法など)を制定するノウハウに乏しく、その関心も薄い。警察の保有している治安情報を分析して、関係省庁に提供し、対策を勧告するという役割も放棄している。それは、戦前の内務省警保局が持っていたフィードバック機能と対照的である。

 

 今日の警察制度は、戦前の内務省を占領軍が分割し、その警保局を自治体による取り締まりに限定して発足させたものである。戦前は、警察の分析した情報は、他の局(地方局、衛生局、土木局など)に共有され、フィードバックが速やかに行われ、根本対策が講じられていたが、現警察の持つ情報分析は、他の省庁に共有されず、宝の持ち腐れとなっている。

 

また、取り締まり(法執行)を主体としてきたため、警察官僚は、視野が狭くなり、海外や経済の動きに疎く、これを分析しようという気構えにも乏しい。警察組織のお山の大将として管理するのは得手でも、自ら必要な法律を起案したり、治安対策の費用対効果を分析したり、他省に政策注文を付けたりする力に乏しいのが実情である。

 

 わが国の経済社会は、すっかり国際化し、複雑な国際関係の影響をもろに受けているが、これまでの警察は、内向きで、海外からの攻撃にすばやく対応できる根拠法もなく、制度も硬直化している。国際的な人材の養成も、非常に不足している。

そこで、以下の警察改革法を提案してみたい。

 

① 国家公安委員会のもとに、国家公安院を置く。(警察庁を国家公安院に改組する。現行では、警視庁と紛らわしく、誤解を招く。合わせて、国家行政組織法も改正する)

 

② 国家公安院を4つの機能に分ける。

  1 都道府県警察の活動を調整する(従来の機能)

  2 国際犯罪の捜査を直轄する(都道府県警察と協 力しつつ、国際テロ、 サ イバー攻撃、スパイなどを摘発する。これに関し県警を指揮監督することができる)

  3 外事情報を収集分析する(海外の日本大使館、jetroなどに電子情報収集拠点をおき、わが国に対する各種の妨害工作、テロ攻撃、情報工作、技術窃取戦略を探知し、分析する)

  4 防諜工作を行う(わが国に対する謀略宣伝、間諜、テロなどの工作を無効化する、防諜オペレーションを展開する)

 

③ 3,4の機能を統合する外事庁を設置する。

④ 自衛隊の充足率に重大な制限がある現状にかんがみ、高度の武器を保有する武装警察を創設し、島しょ部への侵入、テロ、ゲリラ闘争に初動対処する。南西諸島など島しょ部に国境警備隊を設置するのである。

 

ちなみに、humint, elint, comint、ci の専門家の養成には、30年の歳月がかかる。一朝一夕にはいかないので、長期的視点に立って直ちにこの警察改革に取り組むべきと考える。)