外国干渉防止法

 

我が国で、特定秘密保護法が制定されたが、これは特定の秘密を保有する国家公務員がその秘密を漏洩するのを防止する法律であって、国家公務員以外のものが特定秘密を窃取、収集、記録、複写、隠匿、連絡することまで防止するためのものではない。

 

やはり、これとは別個にスパイ防止法が必要となる。また、秘密の取得だけでなく、日本の政策に影響を及ぼす工作活動についても、これを防止する法律が急がれている。

 

その意味で、オーストラリアが2018年に制定した「スパイ活動および外国の干渉を防止する法律」は我が国にとって、大変参考になる。(foreign espionage and foreign interference act)

この法律では、「国家安全」の定義が明確に定められている。即ち、国家の防衛、国民の防護、領域の保全、国家の権利と義務、他国との政治、軍事、経済関係と定められており、これら国家の安全を阻害する行為に対して、最長20年の禁固刑が科される。過失罪、準備罪も規定されている。

また、台湾の反浸透法は、敵対勢力を念頭に置いて、もっと徹底した対抗策を講じている(「海外のユニークな法律」を参照されたい)

 

特に警戒しなければならないのは、中共の国家情報法である(2017)。それには、「いかなる組織も個人も国の情報活動に協力しなければならない」と定めており、中国で事業を行う日本の企業の秘密も窃取されることになる。

 

これを参考にして、我が国で、外国干渉防止法を作るとすれば、以下の一案が考えられる。

 

1 外国の主体(政府、企業、団体、個人)またはその代理人が日本の軍事的または経済的安全保障の措置を阻害することを目的に、資金の提供(融資、投資を含む)、便宜の供与(旅行、飲食の便宜を含む)、欺罔、威嚇、脅迫等により日本の安全保障を阻害する行為を禁止するとともに、その阻害行為を指示、教唆、監督する行為を禁止する。

 

2 外国の主体または代理人と知りつつ、わが国の安全保障を阻害する活動に資金支援もしくは便宜供与を行い、または資金提供、便宜供与を受けることも日本の安全保障に干渉する行為とみなす。

 

3 日本の政治上及び行政上の意思決定過程(教育内容等の決定も含む)において、その意思決定を阻害する1の行為も干渉行為とみなす。

 

4 日本の条約上の権利、義務を阻害する1の行為も干渉とみなし、対抗措置を発動する

5 日本の秘密情報の取得を支援する1の行為も干渉とみなし、対抗措置を発動する。

6 憲法で保障された信仰、宗教の自由を阻害する介入も、干渉とみなし、対抗措置を発動する。(靖国参拝非難なども)

 

7 所要の罰則を設ける(準備行為、過失行為も処罰される)

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台湾の反浸透法

「反浸透法」全条文(日本語訳。2019-12-31自由時報電子版より(台湾の声編集部訳)

 

 台湾の立法院(国会に相当)は1231日午後、与党民進党の法案を元にした「反浸透法案」を可決した。12条にわたる法案は、国外敵対勢力の指示、委託、資金援助を受けて選挙に関する活動を行った場合には最高で5年以下の懲役、または併せて1000万元(約3600万円)の罰金が科せられる。同法の全文は以下のとおり。

 

第一条

 国外敵対勢力の浸透と干渉を防ぎ、国家の安全と社会の安定を確保し、中華民国の主権と自由、民主、憲政の秩序を守るため、本法を特に制定する。

 

第二条

 本法における用語の定義は以下のとおりとする:

 一、国外敵対勢力:

  我が国と交戦状態にあるか、または軍事的に対峙する国家、政治的実体あるいは団体を指す。非平和的な手段で我が国の主権を脅かす主張を行う国家、政治的実体あるいは団体も同様である。

 二、浸透源:

(一)国外敵対勢力の政府や組織、機構またはそれらが派遣した者

(二)国外敵対勢力の政党またはそのほかの政治目的を達しようとする組織、団体またはそれらが派遣した者

(三)前記二項目の組織、機構、団体によって設立、あるいは実質的に支配されている各種組織、機構、団体またはそれらが派遣した者

 

第三条

 何人も浸透源の指示、委託あるいは資金援助を受けて政治献金または経費の供与、選挙に関する活動を行ってはならない。これに違反した者は五年以下の懲役、または併せて一千万元以下の罰金が科せられる。

 

第四条

 何人も浸透源の指示、委託、資金援助を得て総統・副総統選挙罷免法第四十三条または公職員選挙罷免法第四十五条における各項行為に従事してはならない。これに違反した者は五年以下の懲役、または併せて一千万元以下の罰金が科せられる。

 

第五条

 何人も浸透源の指示、委託、資金援助を受けて遊説法第二条に定めるところの遊説行為を行ってはならない。これに違反した者は五十万元以上五百万元以下の罰金が科せられる。第一項に違反して国防、外交及び大陸事務、国家安全、国家機密に関する遊説を行った者は三年以下の懲役及び五百万元以下の罰金が科せられる。第二項に定める罰金刑は遊説法第二十九条に規定する機関罰則に依る。

 

第六条

 浸透源の指示、委託、資金援助を受けて刑法第百四十九条から第百五十三条、または集会デモ法第三十一条を犯した者は同刑の二分の一がさらに加重される。

 

第七条

 浸透源の指示、委託、資金援助を受けて総統・副総統選挙罷免法第五章、公職員選挙罷免法第五章または公民投票法第五章の罪を犯した者は同刑の二分の一がさらに加重される。

 

第八条

 法人、団体またはその他の機構が第三条から第七条の規定に違反した場合、その行為の責任者を処罰し、当該法人、団体またはその他の機構に対しては、各条項に定める罰金または罰則を科す。

 

第九条

 浸透源が第三条から第七条の行為に従事、または他人に第三条から第七条に違反する行為に従事するよう指示、委託または資金援助を行った場合、各該当規定によりこれを処罰する。浸透源の指示、委託または資金援助を受けて指示、委託、資金援助を第三者に行った者もまた同様である。

 

第十条

 本法の罪を犯し自首した者、または捜査、裁判中に自白を行った者は、減刑または刑の免除を得ることができる。自首をし国家の安全または利益が重大な損害を被るのを防いだ者は、その刑が免除される。

 

第十一条

 各レベルの政府機関が第三条から第九条に違反した者を認知した場合には、検察機関または司法警察機関に積極的に移送または報告し捜査するべきである。